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金曜にね、無線配車で乗ったご夫婦・・・。
女性は凄く太ってて、歩くのも大変そうなのですが、主人はスリムで小柄。
乗車して世間話しをしていたら
「マスターちゃうん?」僕をマスターって呼ぶのは喫茶店時代のお客さん、小さな街の駅前で
9割以上が常連さんだったので顔を見れば一発で解るはずなのですが
顔を見ても解らない・・・。
僕は「あ〜・・・」と思い出した素振りを反射的にしたけど次の言葉が出てこない。
沈黙になった・・・。
「私やん、わ・た・し!」
声に聞き覚えがあったけど、半信半疑で
「Y子ちゃん?」と言ってみた。
「そうよ久しぶり〜、マスター、タクシー乗ってるんや、ビックリしたぁ〜」
ビックリしたのは僕の方で、このY子ちゃん、僕より幾つか年上で
モデルさんだったのだ、それは大阪梅田の駅前ビル等に馬鹿デカイ
看板のモデルをしていたような女性・・・
だったほとんど面影無く、まるで別人のようだった
僕は驚きのあまり
「凄い太ったな〜」と言ってしまった。。。
「そうやねん、ごっつい太ったやろ〜」
と怒られるかと思ったけどニコニコしていた。
昔は気性がキツかったので怒っていただろうが
今は凄い太って気質まで変わったのだろうか・・。
細い主人が
「マスターさんですか、噂にはよく聞いておりました」
と言うので
「え?そんなによく話題になってたんですか?」と聞けば
Y子ちゃんが
「二人だけの思い出、い〜っぱいあるやん」とご主人に誤解を招きそうな言い方をするので
「いえいえ、そんな、二人だけのって・・・大袈裟やな〜」と笑ってみた。
「しょっちゅう喫茶店行ってよう相談乗ってもらったり朝昼晩と御飯食べに
行ったりしてたよな〜」と言うので
「そうやねぇ、よく来てくれたね、ほんと良くしてくれてお世話になったわ」
とワイワイと会話も盛り上がり
「お母さん元気なん?」と聞くと急に泣きそうな声で
「それがな、今朝亡くなってん、明日お通夜で明後日葬式やねん
マスターにも来て欲しい・・・」
「え?そうなん、亡くなったん?マジで
明日、仕事抜けてお通夜に行かせてもらうわ」と約束し
数珠とか用意万全で出勤し
土曜日20時前ぐらいタクシー乗務姿のまま通夜に寄った。
「マスターごめんな、こっち来て寿司つまんで行ってよ」
と言うけど知らない人だらけだし、浮きそうだったので
仕事に戻るからと言っても、5分だけ、良いやろと
引っ張られて行った。。。
それがまるで逃亡者を連行するかのように
僕の腕を両手で抱えて連れて行こうとするので
「これはマズいでしょ〜・・・変に思われるよ」
と部屋の入り口で離してもらい、席に付いて
お寿司を少しつまみ、挨拶をし会館を後にした。。。
「マスターほんまにありがとう、また今度御飯でも行こうよ」
と細く小さい御主人がいる横で言ってくれた。
「うん、また・・・とりあえず疲れ出さんようにね」と
勤務に戻ったのでした。

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